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#介護のこと

ヤングケアラーとは?中学2年生の17人に1人がヤングケアラー。その実態と、子どもたちが抱える問題とは。

最近、ニュースやテレビで『ヤングケアラー』という言葉を耳にしませんか?

近年日本ではこのヤングケアラーと呼ばれる若者たちが増加しており、隠れた社会問題となっているのです。

では、このヤングケアラーとは一体誰のことを指していて、どんな問題があるのでしょうか。今回の記事では、この点について解説していきます。

ヤングケアラーとは?

ヤングケアラーに法律上の定義はありませんが、一般的には本来大人が担うはずの家事や介護・家族の世話などを日常的に行なっている18歳未満の子供のことを指します。

子どもが家事や家族の世話をすることは、ごく普通のことだと思われるかもしれません。
でも、ヤングケアラーは、年齢等に見合わない重い責任や負担を負うことで、
本当なら享受できたはずの、勉強に励む時間、部活に打ち込む時間、
将来に思いを巡らせる時間、友人との他愛ない時間…

これらの「子どもとしての時間」と引き換えに、
家事や家族の世話をしていることがあります。

引用:厚生労働省-子どもが子どもでいられる街に。

具体的な例を挙げると、

  • 仕事で忙しい親に代わり、家事やきょうだいの世話をしている
  • 障害のあるきょうだいの世話・見守りをしている
  • 病気や認知症の家族の介護をしている
  • 生活が苦しいため、働きに出て家計を支えている
  • アルコール・キャンブル依存症・精神疾患の家族の対応をしている

ここで挙げたものはごく一部ですが、家庭内で子供がこのような役割を担っている場合はヤングケアラーと判断されます。

ヤングケアラーとなってしまう原因は家庭によって様々なものがありますが、理由はどうであれ放置して良い問題ではありません。

また、気付かぬうちにネグレクトや心理的虐待に繋がってしまっていることも少なくないのが現状です。

ヤングケアラーが抱え得る問題点とは

子供が家庭内で重要な役割を担うことになってしまうと、

  • 学校の勉強についていけない
  • 友人関係が希薄になる
  • 心身ともにストレスを処理しきれなくなる

などといった問題が生じる可能性が考えられます。

これらの詳細について、1つずつ順番におさえておきましょう。

①学校の勉強についていけない

自身がヤングケアラーとなってしまうことで、学校に行けない・登校日が足りないという状況に陥ってしまう子どもたちがいます。

日本では義務教育制度が導入されているため、小学生〜中学生を学校に通わせ、勉強をさせるのは親の義務に当たります。

それを怠り家のことをさせた結果、学習量が足りない・勉強についていけないといった問題が起こるのです。

②友人関係が希薄になる

小中学生の頃は、学校に行けばそこで友人関係が構築されていきますよね。

しかし、上記の通り家事や家族の世話で学校に行けなかったり、放課後に遊ぶ時間が確保できなくなってしまうと友人関係もどんどん希薄になっていってしまうことが考えられます。

特に思春期は、些細なことで仲間外れにされたり、他者と同じことができないといじめの標的になることも珍しくありません。

また、この時期に対人関係・コミュニケーションスキルを身につけられるか、つけられないかは、大人になってからも一生影響し続ける可能性も考えられるのではないでしょうか。

③心身ともにストレスを処理しきれなくなる

ヤングケアラーの中には身体的・物理的なストレスの他に、「子供なのに、子供らしいことができない」「うちはよそと違う」といった心理的ストレスが加わり、処理しきれなくなる子もいるようです。

ストレスが溜まると身体に不調を来たしたり、メンタルヘルスの崩壊や非行などにも繋がりかねません。

ヤングケアラーはどのくらいいるの?

厚生労働省の調査によると、中学2年生の17人に1人がヤングケアラーであるという実情が浮き彫りになりました。

令和2年度の厚生労働省の調査では、調査に参加した中学校の46.6%、全日制高校の49.8%にヤングケアラーが「いる」という結果になっています。また、同調査では、「家族の中にあなたがお世話をしている人はいますか」という質問に対し、「いる」と答えた中学2年生は5.7%にのぼりました。これは、回答した中学2年生の17人に1人がヤングケアラーだったということになります。

引用:厚生労働省-子どもが子どもでいられる街に。

適切なフォローを受けられていないのが現状。今後、社会で向き合っていく必要がある

ここまで解説してきた通り、ヤングケアラーは社会的に大きな問題であるとともに、潜在化して周囲が気付きづらいのが現状です。

そして、そうなってしまっている子供たちの多くは我慢を強いられ、周囲に助けを求めることができない場合も多々。

学校の先生や周りのお友達、保護者の方、地域の大人など、「おかしいな」と思った時は話を聞いてあげる・場合によっては迷わず児童相談所に連絡をするという選択を取ることが、解決に繋がる一歩だと言えます。

相談先には、児童相談所の他にも

  • 市役所
  • 地域の子供・家庭支援センター
  • 児童相談所相談専用ダイヤル:0120-189-783
  • 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310
  • 子どもの人権110番:0120-007-110

などが用意されています。

ヤングケアラーとなった子どもたちの多くは、未来を犠牲にしているといっても過言ではありません。

全てを解決するのには時間がかかるかもしれませんが、まずは周囲の人が注意深く見てあげる・気づいてあげることが、ヤングケアラーを減らすための第一歩ではないでしょうか。