在宅介護をしている家庭で大きな問題となっている、『介護疲れ』。
仕方ないとは分かっていても、「終わりの見えない介護に絶望した」と話すご家族は少なくありません。
今回は、そんな在宅介護の問題について
- 介護疲れの放置で考えられる問題
- 介護疲れを少しでも和らげるためのポイント
について解説していこうと思います。
家族の介護に疲れてしまった…どんな問題が起きる?

介護疲れを放置していると、「疲れ」では収まらない様々な問題が浮き彫りとなってきてしまいます。
では具体的にどのような問題が考えられるのでしょうか。ここでは、特に多いとされている2つの問題についてご紹介します。
①介護離職

1つ目に考えられるのは、家族の介護のため仕事を続けられなくなりやむを得ず退職するという『介護離職』です。
総務省の平成29年就業構造基本調査結果によると、過去1年間で「介護・看護のため」に前職を離職した方の数はなんと9.9万人にも上っています。
働き盛りの30代〜50代を退職させるのは企業側にとってもマイナスですし、本人側からしても収入がなくなり不安定となり、結果的に両者にとってデメリットになってしまいますよね。
しかし、自分が退職する以外に方法がない。それが介護離職の辛いところです。
②介護うつ

2つ目のデメリットは、『介護』という大きな負担やプレッシャーが原因となって発生する、介護うつというものです。
本来は原因が明確であるため予防や改善をすることで症状の緩和が期待できるのですが、実際「介護」という問題はすぐに解決できるものではないため、理想通りに進まず対策が難航することも多々あるのが現状です。
- 慢性的な倦怠感
- 無気力・無表情
- 不眠症
- 食欲不信
- 気分の落ち込み
- 自殺願望
これらの症状が介護者に見られる場合は、介護うつの可能性が非常に高いと言われています。
「疲れているだけかな?」と楽観視せず、なんとか時間を確保して病院に相談するようにしましょう。
介護疲れを少しでも和らげるためのポイント

ここまでは「介護離職」「介護うつ」について解説してきましたが、これらを予防したり、少しでも和らげるためにはどのような対策があるのでしょうか。
以下に3つの案をご紹介しますので、介護疲れに悩んでいる方がいらっしゃったらぜひ参考にしてみてください。
①介護保険サービスを積極的に利用する

1つ目は、介護保険サービスを積極的に利用することです。
特に、デイサービスやショートステイサービスなどの長時間利用ができるサービスは、介護者が疲れている際の活用に適しています。
これらは介護される側の理由だけではなく、介護する側の理由でも利用することができるのをご存知ですか?
例えば、
- 介護に疲れてしまった
- 気分転換の時間を取りたい
- 冠婚葬祭のため
- 子供の外せない用事がある
- 数日間どうしても家を明けなければいけない
など、自分や家族の都合で利用することが認められているのです。
利用できる施設は特別養護老人ホーム、有料老人ホームやケアハウス、グループホームなど。要支援から利用することができる施設もあれば、要介護認定を受けていなければ利用できない施設もあります。
利用を検討されている方は、ケアマネージャーさんや家の近所の施設に相談をしてみると良いでしょう。
②ボディメカニクスを身につけ、身体的負担を減らす

介護疲れを和らげる2つ目の案として、「ボディメカニクス」を身につけるということが挙げられます。
これは身体的な負担を軽減させるもので、病院や介護施設で働くスタッフが実践している動きになります。
ボディメカニクスには、
- 両足を開き、体重を支える面積を広くとる
- 重心を低く保つ
- 水平移動を行う
- 押さずに手前に引く
などのポイントがあります。
こちらのサイトに詳しく解説されていますので、今まで実践したことがない方はぜひ日常の介護に取り入れてみてください。
③介護施設への入所も視野に入れる

3つ目の選択肢として、「介護施設に入所する」というものがあります。
「自宅で見てあげたい」という思いは、多くのご家族が抱えています。しかし実際問題、介護者に何かあった際に共倒れになってしまうのが現実ですよね。
施設に入所してもらって時間ができれば、介護者がまた外に働きに出ることも可能になります。
また、介護認定が取れていれば介護保険を使うこともできるため、金銭的な負担はかなり軽減されます。
もしあなたが自宅での介護に限界を感じているのであれば、介護施設を利用することも視野に入れることをお勧めします。
④地域包括センターに相談してみる

そもそもご家族の介護について、相談するお相手はいますか?
もしもまだ、ご家族の介護サービスの申請等をしていなかったり、初期的な対応が十分にできていない場合は、まずは各地域の「地域包括支援センター」に駆け込みましょう。
地域包括センターには地域の暮らしの専門家が常駐しており、子どもから高齢者までの介護に関する相談やサービスの申請を受けます。初期的対応はもちろん、専門的な相談機関への紹介などの支援も行う機関です。
市区町村のWebサイトでも探すことができるので、ぜひ頼りにしましょう。
人生100年時代で「介護」は必要不可欠。うまくサービスを利用し、負担を軽減させよう
今回の記事では、「介護疲れ」をテーマとしてその原因・問題点・対処方法などを解説してきました。
医療が発達していることにより平均寿命が伸びており、大切な家族の「介護」は私たちの生活から切り離せないものとなっています。
そんな中で、在宅介護に限界を感じる方も増えています。
負担をかけ続けたままでは負のループが続いてしまうので、思い切って環境を変える・使えるサービスの導入を検討するなど介護者がリフレッシュできるような環境を整えることもとても重要だと言えますね。
「どうしたら良いのかわからない」「何からすれば良いのかわからない」という方は地域の病院や施設、市役所の相談窓口に相談をしてみることをおすすめします。